格安SIMとは?
これまでSIMを購入するためには、
- ソフトバンク
- ドコモ
- au
など、いわゆる大手キャリアのサービスしかありませんでした。
大手という安心感はあるものの、価格が高いのが難点。毎月の基本料金で家計が圧迫されている方も多いことでしょう。そんな中で登場したのが「格安SIM」。名前の通り「格安」というのが一番の売りです。ただ、まだまだ大手キャリアを選ぶ方が多い現実があります。格安SIMについての知識が少なく、興味はあっても踏み出せない方が多いようです。そこで今回は、「格安SIM」についてまとめようと思います。格安SIMとは何か、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.格安SIMとは
格安SIMとは、MVNO事業者の展開する「格安!」な通信サービスです。
どれくらい安いのか、以下の表にまとめました。
通話プラン | 基本料金(データ量:5GB) |
---|---|
ソフトバンク(大手キャリア) | 8,000円(税別) |
mineo(MVNO事業者) | 2,280円(税別) |
※上記の金額は、あくまで参考金額です。契約内容により大きく変わる可能性があります。
上記の表を見て頂くと分かる通り、大手キャリアに比べMVNO事業者の方が、1/3〜1/2ほど安いことになります。
その上、大手キャリアでは「端末+SIM」のセットが基本です。端末代まで加えるのなら、大手キャリアの料金はさらに上がることが考えられます。では、どうして格安SIMがこれほどまで格安なのか?
このことについて理解するには、
- SIMカードとは
- MVNO事業者とは
- なぜ格安なのか
と順序立てて理解していく必要があります。
1.SIMカードとは
SIMカードとは、契約者情報を記録する記録媒体。
携帯やスマホ、タブレットなどの端末に挿入して使用するICチップカードです。
当然、SIMカードがないと、これら端末で電話やネットに繋ぐことはできません。
また、一口にSIMカードと言っても、
- 標準SIM
- microSIM
- nanoSIM
と、大きさによって3種類に分けられています。 各端末には対応しているSIMカードのサイズが決められています。 SIMカードのサイズが合わないと使用できないので注意が必要です。
2.MVNO事業者とは
単純にSIMカードを購入するのであれば
ソフトバンク、ドコモ、auなど大手キャリアでも可能です。
ただ、「格安SIM」となると話は別。MVNO事業者から格安SIMを購入する必要があります。
MVNO事業者とは、より低価格でSIMカードを販売している事業者のこと。
つまり「格安SIM」とは、大手キャリアに比べて「格安」で提供される電話やネットサービスのことです。
3.なぜ格安なのか
どうして大手キャリアよりも安くサービスを提供できるのか?
その理由は主に2つ、設備投資と人件費がほとんどかからないことにあります。
そもそもMVNO事業者には、大手キャリアのような通信設備(中継基地)がありません。
大手キャリアの所有する通信回線の余りを借りる形でサービスを展開しています。
一般的に、通信設備には、設備建設費、設備維持費の2つの設備投資がかかります。
これら設備投資は莫大な経費として、サービスの値上げに関わります。先述した通り、MVNO事業者には通信設備がありません。
つまり、大手キャリアのように設備投資にかかる経費がないということです。
また、MVNO事業者の多くは一部例外を除き、店舗窓口や電話窓口を設置していません。
ほとんどの対応を公式ページ上の「マイページ」から行うシステムです。
反対に、大手キャリアは全国各地に店舗を設置しています。
例えば、ソフトバンクには全国約3,700もの店舗があります。
店舗や電話窓口には、必ずスタッフを用意する必要があります。
「スタッフ=給料」、従業員ほど大きな経費に繋がるものはないと言えます。
その点、MVNO事業者では、多くのスタッフを用意する必要がなく、人件費の削減に繋がります。
このようにMVNO事業者は、限りなく経費を削減しているからこそ、大手キャリア以上に格安な「格安SIM」のサービスを提供できるのです。
もちろん、格安SIMの売りは「格安!」なことだけではありません。
- 通信品質は変わらない
- 電話番号の引き継ぎが可能
- 契約期間が短い
などのメリットもあります。
メリット1通信品質は変わらない
格安SIMで使用される通信回線は、大手キャリアと同じものです。
これは先述した通り、MVNO事業者が大手キャリアから回線を借りているため。
同じものを使用しているのですから、
通信回線の品質自体は大手キャリアのものと変わらないことになります。
「安い=低品質」というわけではないのです。
メリット2電話番号の引き継ぎが可能
電話番号が変わると、
- 家族や友人、知人に知らせる
- 銀行やカード会社への変更手続き
など対応する必要があります。
そんな面倒から解放してくれるのが「MNP」。いわゆる、電話番号はそのままに乗り換えるサービスです。格安SIMも「MNP」を利用できる場合があります。大手キャリアからの乗り換えでも、今までの電話番号が使えますよ。乗り換えたからと、システムが大きく変わるわけではないのです。
メリット3契約期間が短い
大手キャリアでは、主に2年間の契約期間を設けています。いわゆる「2年縛り」と呼ばれるものです。
そして契約期間内に解約する場合、解約料として1万円前後の支払いが発生します。もし端末代を分割払いにしていれば、その分も上乗せされることになります。
安易に契約や解約がされないためとはいえ、私たち消費者側からするとあまり嬉しくはないシステムですよね。MVNO事業者が展開する格安SIMの契約期間は、1年間というものが多く、それ以降はいつ解約してもいいという場合がほとんどです。大手キャリアに比べて、より自由に契約や解約が可能となります。もちろん、格安SIMにはメリットだけでなくデメリットも存在しています。ぜひデメリットについても正しく把握した上で検討してみてくださいね。
2.格安SIMとMVNOの違いは?
ここまで格安SIMとMVNO事業者、2つの聞きなれないものに対して説明してきました。
そこでよくある間違いが、格安SIMとMVNO事業者を同じものとして解釈してしまうことです。上述してきた通り、両者は似てはいますが厳密には違うものです。
正確には、
- 格安SIM:MVNO事業者が展開する通信サービス
- MVNO事業者:格安SIMのサービスを販売する会社
です。
つまり、「格安SIM=サービス」「MVNO事業者=会社」ということです。正直なところ、両者を混同させたとしてもそれほど問題はないでしょう。頭の片隅に、なんとなくでも覚えておいて頂けると幸いです。
ちなみに、MVNO事業者だけで、
- 楽天モバイル
- Y!mobile
- mineo
- DMMモバイル
- イオンモバイル
など十数社も存在しています。
それらMVNO事業者が様々な格安SIMサービスを展開しているため、プランの数で考えると100以上。正直なところ、その中から1つを選ぶというのは非常に大変です。せっかく大手キャリアから乗り換えるのですから、安いだけではなく自分に合った格安SIMを選びたいものですよね?
そこで格安SIMを選ぶポイントを以下の4つにまとめてみました。
- データ量
- 通信速度
- 回線の種類
- サービスの種類
1.データ量
格安SIMの特徴として、幅広いデータプランがあることが挙げられます。
例えば、MVNO事業者「イオンモバイル」には、最低500MB〜最高50GBまで、音声通話だけでも全11のプランが用意されています。その他のプランを合わせると30近くにもなります。当然、データ量によって料金プランも変わります。
音声通話プラン | 500MB | 1GB | 4GB | ~ | 50GB |
---|---|---|---|---|---|
イオンモバイル | 1,130円 | 1,280円 | 1,580円 | ~ | 10,800円 |
みなさんは月にどれくらい動画や音楽を視聴しますか?
格安SIMを検討する際には、自分のデータ使用量を確認することが大切です。またMVNO事業者の多くが、1日のデータ使用量に制限を設けています。100MB/日などです。
もし、データ使用量を超えてしまうと、通信速度を大幅に遅くする措置が取られます。解除されるまで不便になるので、制限のない、または優しいところを選びましょう。
2.通信速度
先述した通り、格安SIMは大手キャリアと同じ回線を使用しています。回線の質自体はそれほど変わらないということ。ただし!格安SIMで使用している回線は、あくまで大手キャリアで余っている回線の一部なのです。
みなさん、「道」をイメージしてください。道1本分の幅は同じでも、1本の道と2本の道では道幅は2倍、通れる人やものの数が違います。当然、本数の少ない、狭い道の方が渋滞は起きやすいですよね?格安SIMというのは、まさに情報の「道」。質が同じでも、回線の数が少なければそれだけ遅くなり易くなります。
ちなみに通信速度については、
- 75Mbps以上は高速
- 200kbps〜75Mbpsは低速
と考えておくのがいいでしょう。
格安SIMの利用目的が、動画の視聴、音楽のダウンロードなど大量のデータ通信を必要とする場合には、高速のものを選ぶのがおすすめです。反対に、ウェブページの閲覧、メールのやり取りなど、基本的なネットサービスしか必要でないのなら、低速のものでも十分ですよ。
3.回線の種類
格安SIMで使用される回線には、ソフトバンク、ドコモ、auなど種類があります。
そして、これら回線の種類によって電波の届きやすいエリアが違います。
例えば、
- Aの地域はソフトバンク
- Bの地域はドコモ
- au
の電波が入りやすいなのです。
これは、大手キャリアごとに通信設備(中継基地)を設置している場所が異なるため。そのキャリアの通信設備が多い地域ほど電波が入りやすいということになります。もちろん、最近ではほとんどの地域に対して、全てのキャリアからの電波を受信することができるようになりました。それでも、地域によっては若干の誤差は出てきます。この誤差、動画の視聴や音楽のダウンロードなど、大量にデータをやり取りするときには大きな差に繋がります。格安SIMを選ぶ際には、どこの回線を使用しているのか調べてみるのもおすすめです。
4.サービスの種類
実際に使用した方の多くが驚くこととして、実は格安SIMでは「LINEのID検索」ができないのです。これは、LINEのID検索を行うために年齢認証が必要で、それは各キャリアでしか対応していないためです。
- 無料電話
- チャット機能
など便利な機能が満載なLINE。
今すでにLINEを使用しているという方も多いことと思います。そんなLINEのID検索ができないのは、思う以上に不便ですよね。しかし、2016年9月、LINEが「LINEモバイル」を展開。MVNO事業者として格安SIMの市場に参入してきました。MVNO事業者の中でも唯一、LINEのID検索が可能な格安SIMサービスです。このように、格安SIMによっては一部対応していないサービスがあります。知らずに選ぶと、本当に使いたいサービスが使えずに困ることもあるでしょう。必要なサービスがあるのなら、あらかじめ確認しておいた方がいいかもしれませんよ。最後に1点、格安SIMを検討する上での注意があります。
格安SIMを使用するためには、スマホ、タブレットなどの端末が欠かせないということです。
一般的にMVNO事業者は、
- 格安SIMのみ
- 格安SIM+端末
のどちらかで販売を行っています。
そして、格安SIMに使用される端末の多くが「SIMフリー端末」。
いわゆる、サイズさえ合えばどこのSIMカードでも使用できる端末のことです。反対に、大手キャリアで販売されている端末は「SIMロック」。他キャリアのSIMが使えないように鍵をかけられた端末のことです。大手キャリアの端末では格安SIMが使えない場合があります。つまり、大手キャリアからMVNO事業者へ乗り換える場合、新たにSIMフリーの端末を購入しておく必要がある可能性も考慮しておきましょう。
まとめ
今回は、格安SIMとはなんなのかについて紹介させていただきました。
多少脱線してしまったところはありますが、かなり詳しい内容になっていると思います。
私たちはこれまで、
- ソフトバンク
- ドコモ
- au
など、いわゆる大手キャリアしか選択肢がありませんでした。
MVNO事業者の参入により、格安SIMプランは100以上。
たくさんのプランの中から自由に選択することができるのです。
ただ反対に、私たちは選択肢が増えると選ぶことが困難にもなります。
自分に合った格安SIMを100以上のプランから選ぶのは大変ですよね。
そんなときは、自分が普段からどう端末を利用しているかを思い浮かべてください。
- ウェブの検索のみ
- たまに音楽を聴くくらい
- 毎日動画を観る
など人それぞれに違うことがわかると思います。
データ量や使用方法がイメージできれば、格安SIM選びの基準になります。
ぜひみなさんそれぞれに合う格安SIMを見つけてみてくださいね。
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